ただお一人のためにお手伝いをしたい

　住宅には夢・希望・利便性・快適性・装飾・豊かさや様々な要素を含んだ一大事業です。そしてそれら全てを網羅する事を究極の目的として励んで参りました。もちろんこれからもそれを目指して精進していこうと思っています。
　しかしながら、そういった理想は現実の世界では到達する事ができずに「ほぼ希望通り」や「３回建てないと理想の家にならない」といったお声を良く耳にします。そのたびに申し訳ない気持ちで一杯になります。いつも「バランス」という耳触りの良い言葉で納得している事があるように感じていました。あえて点数をつければ何点であるといったたとえがあてはまるかもしれません。
　もちろんご家族の成長によって住まい方が変わります。未来永劫に希望を全て満たす究極の家の建築は達成できない大きな目標であっても、その事を追求し続ける姿勢こそに意義がある事も十分理解をしています。そしてその事に日々研鑽する事が最も大切な事であることも自覚しています。
　それらを踏まえて尚、勇気をもって問いかけてみる事にいたしました。
　我々の考えた家は目に見えた快適性を備えているものでもなく、利便性のあるものではなく、「住まう」という事や、家は単なる空間でしかないという事を問いかけてみたいと思います。主人公は住まわれるご家族です。家に求める機能ではなく空間をご提案したいと思います。「こんな暮らしをしたい」という方には不向きかもしれません。「どんな暮らしになるのか」「どんな気持ちになるのか」といった漠然としたものとなりますが、そういった気持ちに向き合ったご提案をいたします。万人に求められる訳ではありませんが、ただお一人のためにご提案をいたします。
　私共の取り組みに、お一人でも共感をしていただける方がいらっしゃればと願っております。
　何卒宜しくお願い申し上げます。